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フランス語 / Français
性, 数, 格
フランス語のすべての名詞に性があり, 一部の代名詞を除いて必ず男性か女性が決まっています. 数については名詞に可算/非可算, 名詞形容詞に単数/複数の区別があります. 一部の代名詞を除いて基本的に格変化はなく, 格は語順と前置詞により決定します.
性
名詞は女性, 男性の二つの種類があります.
- 女性名詞 : mère「母」lune「月」
- 男性名詞 : père「父」fromage「チーズ」
「学生 (étudient) 」や「友人 (ami) 」などは男性名詞ですが, 女性の学生や友人を指すときは原則的に男性名詞の語尾に e をつけること (以下の女性形のつくりかたを参照) で女性形にすることができます. 冠詞, 動詞の過去分詞, 形容詞にも性があり修飾する名詞に合わせて変化します. 名詞と同様の方法で女性形をつくることができます.
- étudient 男性の (または文脈で性別が決定していない) 学生
- étudiente 女性の学生
女性形のつくりかた
大きく分けて三種類ありますが, ある程度パターン化されているとはいえ例外も多いです.
男性名詞にそのまま e をつける
étudient → étudiente
ami → amie男性名詞の語尾の形に合わせて e をつける
journaliste → journaliste (-e → -e 男女同形)
cuisinier → cuisinière (-er → -ère)男性単数第二形から2に従って女性形をつくる
beau : bel (男性単数第二形) → belle (子音字を重ねて e をつける)
nouveau : nouvel (男性単数第二形 ) → nouvelle例外
blanc → blanche
long → longue
数
名詞には可算/非可算の区別, 単数/複数の区別があります. 冠詞, 形容詞にも単数/複数の区別があり, 性と同じく修飾する名詞に合わせて単複を変化させます. 名詞, 形容詞は原則的に名詞に s をつけることで複数形をつくることができますが, 女性形のつくりかたと同様に語尾の形によりつくりかたが分かれます.
単数形の語尾にそのまま s をつける
livre → livres男性名詞の語尾の形に合わせて変化させる fils → fils (-s → -s 単複同形) heveu → cheveux (-eu → -eux)
動詞の活用は主語の人称 (一人称, 二人称, 三人称) と単複に対応する (3×2=) 6 活用が基本となります.
格
名詞には主格, 属格, 与格, 対格, 呼格の五つの格があります.
- 主格 : 主語になる格
- 属格 : 部分からみた全体を表す (などの様々な役割のある) 格
- 与格 : 間接目的語になる格
- 対格 : 直接目的語になる格
- 呼格 : 呼びかけや前置詞の補語になる格
五つの格は語順と前置詞により決まるため格変化はありませんが, 人称代名詞のみに関しては格変化により格が付与されます. 特に人称代名詞の呼格は強勢形という形で表され, 主語の同格や比較対象などに用いて違いを強調することができます.
je (私) → moi (jeの強勢形)
- A: Je préfère le café. Préfères-tu le café ou le thé?
私はコーヒーが好きです. あなたはコーヒーと紅茶, どちらの方が好きですか? - B: Moi, je préfère le thé.
私は紅茶の方が好きです ← (訳には反映されないが“私”が強調されている)
法
動詞の活用の種類を分類するうえで, 直説法 (文の内容を事実・現実のこととして提示する) , 条件法 (事実に反する非現実性を含むことを仮定して結果を推測する) , 接続法 (願望や必要性を述べる従属節の中で意志などを潜在的に表す) , 命令法の四つの法があります.
時制
大きく現在過去未来の3つ, 細かく分けると叙法と結びついて, 直説法8つ (現在, 複合過去, 半過去, 大過去, 単純未来, 前未来, 単純過去, 前過去), 条件法2つ (現在, 過去), 接続法4つ (現在, 過去, 半過去, 大過去), 命令法2つ (現在, 過去) の計 16 個があります. 時間の概念と一致するものもありますが, 法の概念と同様に動詞の活用の種類を表すものと捉えるのが良いでしょう.
アスペクト
動詞や準助動詞, 副詞などの意味や単語の並びにより表されます. 主なアスペクトには次の 8つがあります.
- 起動相 : 出発する (partir) など行為の開始が意味に含まれる動詞により示されます.
- 瞬時相 : 打つ (frapper) など一瞬の動作を表す動詞により示されます.
- 反復相 : 定期的に行う動作の動詞やそれをあらわす補語により示されます.
- 進行相 : (aller+不定詞) や動詞を繰り返すことで示されます.
- 完了相 : 完了動詞や副詞 déjà (既に) などにより示されます.
- 未完了相 : 未完了動詞や副詞 encore (まだ) により示されます.
- 近接未来相 : (alle+不定詞) により示されます.
- 近接過去相 : (venir+de+不定詞) により示されます.
態
能動態・受動態があり, 能動態の文章の目的補語を主語にして動詞を être + 過去分詞 にすることで受動態の文章を作ることができます.
- 能動態 : Pierre a invite Catherine à diner. ピエールはキャサリンを夕食に誘った
- 受動態 : Catherine a été invitee à diner par Pierre. キャサリンはピエールから夕食に誘われた
語順
先の記述の通り語順で格が決まることもあるため, 比較的語順に自由度はありません. 英語の五文型に当たる基本六文型 (SV, SVA, SVOd, SVOi, SVOdOi, SVOdA) があります. (S:主語 (sujet) V:動詞 (verbe) A:属詞 (attribut) Od:直接目的補語 (complémentd’objet direct) Oi:間接目的補語 (complément d’objet indirect))
文字
Alphabet (アルファべ) を使います.
文字一覧
大文字 | 小文字 | 名称 |
---|---|---|
A | a | アー |
B | b | ベー |
C | c | セー |
D | d | デー |
E | e | ウー |
F | f | エフ |
G | g | ジェー |
H | h | アッシュ |
I | i | イー |
J | j | ジェー |
K | k | カ |
L | l | エル |
M | m | エム |
N | n | エヌ |
O | o | オー |
P | P | ペー |
Q | q | キュー |
R | r | エー |
S | s | エス |
T | t | テー |
U | u | ユー |
V | v | ベー |
W | w | デュブルベ |
X | x | イクス |
Y | y | イグレック |
Z | z | ゼッド |
文字の種類は英語と同じ26種類ですが, 綴り字記号を使います.
名称 | 日本語読み | 記号 |
---|---|---|
Accent aigu | アクサンテギュ | é |
Accent grave | アクサングレーブ | è |
Accent circonflexe | アクサンシルコンフレクス | ê |
Tréma | トレマ | ë |
Cédille | セディーユ | ç |
Trait d’union | トレ・デュニオン | - |
Apostrophe | アポストロフ | ‘ |
参考文献
- 長野督 竹中のぞみ,”l’Histoire de Tetsuo”, 白水社, 2012
- 六鹿豊,『これならわかるフランス語文法~入門から上級まで~』, NHK 出版, 2016
- 町田健,『フランス語文法総解説』, 研究社, 2015
- 目黒士門,『現代フランス広文典』, 白水社, 2015